007:毀れた弓
初めてだった
目を閉じて「眠る」のが「怖い」だなんて思ったのは
「生きて」いるのは当たり前のことで
自分が「死ぬ」だなんて一度も考えたことなくて
とにかくあの日は本当に「怖か」った
もし、眠ってる間にやってきたら?
痛みも何も感じないまま死んじゃったら?
目が覚めた時、家から放り出されてたら?
みんな、いなくなっちゃったら?
私は死んだらどこに逝くの…?
あの日からそう思うと「眠れ」なかった
「怖く」て涙がいつも零れた
だから、いつも呪文を唱えてた
――明日も良い一日でありますように……
私だけの秘密の呪文
恐怖から逃れるための呪文
明日も「生きて」いますようにって、そう願った呪文
あの日から、私の毀れた心は少しずつ修繕されている
少しずつ、少しずつ、ゆっくり
きっと完全には戻れないけど
私たちは「生きて」いる限り「死ぬ」のだから
それから逃れられることは、絶対にない
それでも私は「生きる」ことを絶対にやめない
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