√って、何なんだろう…
ふとそう呟くと、
「…あんた、先生の話聞いてた?」
大きなため息を吐かれた。そして、
「いい? 2乗すると正の数aになる数を、aの平方根って言うの。つまり3や−3は2乗すれば9になるから、3と−3は9の平方根であって…」
「そういうことじゃなくて!」
つい先程の授業で板書したノートを開き、スラスラとそれを読みあげる彼女を制した。
確かに、昨日遅くまで起きていて寝不足であるため、授業内容は殆ど覚えていない。まして平方根の説明をされてもサッパリ分からなかった。
だが聞きたいのは、そんなことではなく。
「勉強する意味はあるのかなってこと」
受験のためだけに勉強する。
大人になれば必要のなくなる知識。
覚えていても将来役に立ちそうにない、無駄な知識。
「そうだねぇ…、私はコレも無駄な知識だと思うけど」
指差す先には、この後ある授業の古典の教科書が。
「ま、人それぞれってことでしょ。無駄だった、で終われば、勉強しててよかったって思う人だっているんだよ」
ふぅん…と彼女の顔を見ながら、既にどうでもよくなったのか机に突っ伏した。
自分から聞いてきたくせに…、と思う。
だが相当寝不足なようで、仕方ないかと、これ以上話をするのは諦めた。
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